神戸市立医療センター中央市民病院・開腹手術の真実

セカンドオピニオンの重要性
良い治療を納得して受けるために

巨大筋腫、アゴニスト療法適応無し~なぜ術前にアゴニスト療法をしないのか

第7章 神戸市立医療センター中央市民病院の役割その光と影


この病院も研修医の育成を謳っています。
研修医がまずマスターしなければならないのは腹式単純子宮全摘術です。
病院は症例確保、患者確保をしなければなりません。その為に巨大子宮筋腫にアゴニスト療法の適応は無いとして、大きいまま開腹全摘、 手術の執刀は技術の未熟な医師かもしくは研修医がします。
それが神戸市立医療センター中央市民病院の治療方針です。


【GnRHアゴニスト療法とは】


偽閉経療法は、GnRHアゴニスト製剤を投与し、卵巣機能を抑制して、月経を無くすことで月経に伴う症状を消失させ、 また薬剤を投与している間、ある程度筋腫を縮小させるが、更年期症状の出現や骨密度の低下という副作用が あるため投与期間に制限があり、効果は一時的である。
その為
1)手術を予定している患者に過多月経により貧血が強い場合の待機療法、
2)筋腫を縮小させて開腹手術ではなく腹腔鏡手術または経腟での摘出手術を可能にする。
3)閉経に近い患者に、中止したときに月経がなくなることに伴い症状が消失することを期待する

(閉経前の逃込み療法)

などの目的で、期間を限って実施する。
GnRHアゴニスト投与による子宮筋腫縮小の程度は、投与開始後2~4か月の内に、 20~40%の容積の減少が期待できるとされているが、効果には個人差があり、期待されたほどの縮小がみられない事も多い。
(地裁 病院側証拠)
なお、粘膜下筋腫はすごい出血することで貧血がすすむことがあるそうです。
(レディースクリニック)

通常、核出術や腹腔鏡を目的とした時に、術前投与します。
開腹でも、大きいまま手術すると危険なため、アゴニスト療法で小さくしてからと考える病院・医師もいます。
術中出血量の減少も目的の一つです。

婦人科ガイドラインでも、

「閉経直前の年代では、GnRHアゴニスト療法を行う」

とあります。
所謂、閉経前の逃込み療法です。

閉経間近で、血中FSH値が比較的高値であれば、GnRHアゴニスト療法により自然閉経が期待される。

からです。 また、

貧血やQOLの改善だけでなく、筋腫の縮小効果による圧迫症状の改善に効果がある。


さらに、妊孕性温存希望のある場合でも、

「早急な挙児希望が無ければ、希望が出るまでGnRHアゴニストなどの薬物療法を断続的に行い、 子宮筋腫の縮小と症状の軽減を図ることは可能である。」

とあります。

子宮筋腫に対する診断や治療法は、その進歩により、以前と比較して多様な選択肢が生まれている。
また近年の晩婚化に伴い、患者の社会的背景も変化している。(中略)治療においては、患者の年齢、症状、挙児希望の有無、患者の社会的背景を考慮して、 最善と思われる治療を選択することが望まれる。


【子宮の手術方法】


腹式単純子宮全摘術

お腹を切って子宮を摘出する方法。子宮筋腫以外の婦人科腫瘍でもひろく行われる標準術式、どこの病院でもできます。

腹式単純子宮全摘術は子宮筋腫の根治術で、平均は1時間程度、短い場合は30分程度の手術時間。

産婦人科手術の中で最も基本となる手術です。
産婦人科医が身に付けておかなくてはならない、研修医がまずマスターしなければならない手術です。
基本をしっかりと学び、多くの症例を経験する。
しかし、大学病院の研修の3年間で、腹式単純子宮全摘術を自ら執刀することが少なくなりました・・・。



施行の際に、手術手技の不備などで尿管損傷と不測の出血を生じることがあります。
(ブログでは手術後に尿トラブルが起こった方もいました。)
とくに子宮労組織や膣旁組織において豊富な血管を伴う結合織線維が錯走しています。
そこで確実な集束結紮を行う必要があり、不測の出血から尿管損傷に至ることもある。
単純全摘術は子宮動脈の下行枝を切断する必要があり、尿管・膀胱の損傷・膣内の細菌感染に注意・考慮が必要になってくる。
それに比べて、膣上部切断術は子宮動脈の上行枝を切断するだけの為、尿管損傷を避ける目的で、 膣上部切断術に逃げる場合もあるようです。
しかし、それも広汎全摘術に熟達していれば、骨盤内の解剖に十分な知識と経験がある為、 尿管損傷の懸念はないが、

すべての婦人科医にそこまで期待するのは難しい・・・。
骨盤内臓器の状況は千変万化の為、それに対応できないといけません。


いろいろな本を図書館で読む限り、単純子宮全摘より、膣上部切断術の方が簡単なようです。
今回の私の術式は腹式子宮膣上部切断術でした。
私の手術時間は3時間もかかりました。
「かかりすぎでは?」という指摘もありました。

子宮膣上部切断術

子宮体部のみ摘出し、子宮頸部は残しておきます。
昭和40年代頃に一般的だった方法。子宮頸部を残すことで子宮頸がんになるリスクがある為、腹式単純子宮全摘術が一般的。

広汎子宮全摘術

子宮体癌における標準的手術療法。子宮・卵巣・卵管・骨盤内のリンパ節、膣の一部及び周囲の組織など骨盤壁から近い範囲を切除。

膣式単純子宮全摘術

お腹を切らずに、膣から子宮を摘出する方法。出産経験のある場合に選択。手術時間は平均20~25分。

子宮筋腫核出術

筋腫のみを刳り抜きます。子宮温存が出来ますが、将来筋腫が再発する可能性が残ります。

【アゴニスト療法適応無の理由】

特に、腹式単純子宮全摘術は医学の発展のためには必要な手術です。
だからと言って患者が犠牲にならないといけないのでしょうか。

この病院も研修医の育成を謳っています。
その為、病院は、部長医師は症例確保、患者確保をしなければなりません。
若い医師は経験を積みたいです。帝王切開、子宮筋腫の腹式、膣式手術などです。
それには良性でないといけません。癌などの悪性を任せる訳にはいきません。

アゴニスト療法をすることで、私の経験のように、お腹が小さくなれば、 腹腔鏡で出来るようになります。
患者は開腹より腹腔鏡を選ぶでしょう。
傷も小さく、身体の負担も少ないです。数日で退院できます。仕事復帰も早いです。
術後の癒着も少ないです。
患者にとっては万々歳です。
しかし、そうなると腹腔鏡の認定医でもない若い医師、研修医に回すことは出来なくなります。
もっと言えば、閉経前の逃込み療法で、患者は手術しない可能性もあります。
そうなれば、患者確保は出来ません。



北正人医師は患者を逃がすわけにはいきません。
すぐに手術予約を取る。
だから、“アゴニスト療法をしない”のです。
アゴニスト療法をしなければ、開腹全摘以外にあり得ません。
適応が無い、それが患者にとって良くないとかいうのは言い訳にすぎません。
良いのか悪いのかを決めるのは患者です。
実際私には、内科でのイラストのようにお腹が小さくなった経験がありました。
(第5章再手術までの20年間)
アゴニスト療法をすれば、"お腹が大きくて取るのが難しい"・"傷も小さく"・"卵巣の腫れ"は解決したのです。


私に対して(過去においても)、適応が無いとして説明をしませんでした。
何が何でも、大きいまま開腹全摘でないといけなかったのです。
そして手術の執刀は技術の未熟な若い医師かもしくは研修医になるのです。
故に手術には指導医が付きます。
しかし、その指導医に関して、説明義務はありません。
さらに、指導医が付くような医師に希望を言っても、何にもなりません。

部長が決めたとおりする事ベースです。
(医療現場が混乱するからです。)


それが神戸市立医療センター中央市民病院の治療方針です。
患者が納得しているのならともかく、納得していない、希望もしていない、
全摘拒否した未婚未産婦の患者から子宮を取り上げる、そして司法にも何も悪くないと認めさせる。
それが神戸市立医療センター中央市民病院の、北正人医師・宮本和尚医師の実力・真実です。


次ページでは、当時の神戸市立医療センター中央市民病院のHPの内容と治療実績をもとに、他院との治療実績とを比較することで、さらに具体的に掘り下げていきます。

病院の選び方、医師とのコミュニケーション

Q&A:手術は大学病院や大病院の方が安心して受けられるのか?



「Q61 手術は大学病院や大病院のほうが安心して受けられると思っていたのですが、友人はそうとばかりはいえないというのですが。

A:研修医制度をとり入れている病院では教育上一定数の手術患者を確保せねばなりません。
研修期間に、帝王切開、子宮筋腫の腹式、膣式手術などを経験することが必要だからです。


公立病院、大学病院、大病院は設備が整い専門性が高いという長所はありますが、 手術は必ずしも熟練した医師が執刀するとは限らないのです。
自分にとって良い病院、医師を選ぶ基準はむずかしいことです。
単に病院の大きさ、設備、サービスの良さ、病室の立派さなど表面的な判断では決められません。
近所の評判を聞き、その医師と何回かの応対で誠実さが感じられるか、ほんとうに納得できる説明や医学上の必要性を、 良い点も危険な点も含めて十分説明してくれるかどうかでしょう。」

「どうする子宮筋腫」日本婦人会議より


今回の私の手術がそうでした。
指導医をつけると言わない医師が、技術の未熟な医師が、どういう事をしてくるか、その良い見本と言えるでしょう。
治療そのものも、説明も、カルテも、何もかもでした。
私の最初の、宮本和尚医師を見た時の不安は100%的中したのです。