医療裁判 神戸市立医療センター中央市民病院での巨大筋腫の治療方針は?
第5章 神戸市立医療センター中央市民病院 調停から訴訟へ2
4.地裁判決
2018年3月 判決は棄却でした。当裁判所の判断
1.事実・原告は北医師の時に手術を受けることを強く希望した。
・宮本医師は11月7日に手術・検査に関する説明書(同意書)で、手術の内容、 危険性、合併症、簡単な手術ではない事、創部も臍の上までくる事等を説明して、 次回までに再考するようにと述べた。
2.原告は妊娠の希望、子宮温存の希望を述べたか
・原告は妊娠希望があるとは述べたと主張しておらず、子宮温存の希望は伝えたと供述する。 手術の実施に影響を与えるような事情が判明した場合、その事を診療録に記載しないとは考えられない。
また、1年以上にわたり宮本医師に卵巣切除の不満を述べているが、その過程で、 子宮温存の希望を無視されたという不満は述べていない。
したがって、子宮温存希望の供述を信用することは出来ない。
妊娠の希望も子宮温存の希望も述べていなかったと認められる。・原告が被告病院の紹介を受けたのは、手術を受けるためである。
いろいろな治療方法を聞くためであったと原告は供述するが、信用する事が出来ない。
・北医師は薬物療法と子宮筋腫核出術の説明もしたうえで、子宮全摘術を勧め、 手術希望であると診療録に記載するのも、特に手術希望が強い場合のみと証言しており、 この証言を疑う事情は存在しない。当時原告は子宮全摘出術による手術を強く希望していたと認められる。
3.宮本被告の説明義務違反の有無
・被告宮本は11月7日の診察において手術・検査に関する説明書(同意書)に沿って説明を行い、 手術を受けないという選択肢も提示したから、説明義務違反があったとは認められない。
選択可能な他の治療方法に関する説明について
薬物療法について
・偽閉経療法を実施した場合、摘出した子宮体部の重量が3kgを超える巨大なものであり、 上端が胸骨の剣状突起を超えるあたりまで占拠していたから、容積が減少しても、 下腹部腫瘤感が大きく軽減したとは考えにくく、血栓症を起こすリスクもなくならない(証人北)。
よって薬物療法の適応があったとは認められない。
手術療法について
・子宮筋腫核出術は原告のような多発性の巨大筋腫の場合には妊娠の希望が無い限り適応はないと述べており(証人北、被告宮本)、 原告は妊娠の希望があると述べていたとは認められない。
したがって、原告に子宮筋腫核出術の適応があったとは認められない。
まとめ
原告の子宮筋腫について、子宮全摘出術以外に選択可能な治療方法があったとは認められないから、 他の治療方法の内容と利害得失、予後などについて説明する義務を負っていたとはいえない以上、説明義務違反は成立しない。
裁判官 倉地 康弘
私の主張は全く通らず、医師が、患者の全摘拒否の希望をカルテに書かないわけがないと、 してもいない説明をしたという医師の言い分が通り、いわゆる医師ファースト・カルテファーストで全面的敗訴となりました。
地裁の判決にまで私の主張は「信用する事が出来ない」となりました。
それは何故か、カルテに宮本和尚医師は私の事を「信用性に欠ける」と記載しているからです。
それが判決にまで影響したと考えられます。
カルテの記載は訴訟になった時のことを考えて記載しているのです。
随分先見の明のある頭のいい医師です。
5.2018年4月大阪高裁へ控訴
控訴理由
1.妊娠希望があった、今の医療だから子宮をおいといてさえもらえたら、何とかならないだろうか、 同年代の女性が当たり前のようにしてきた事を、まだ何もしていません、助けて下さい、そういう気持ちだった。2.手術を強く希望してなどいないにもかかわらず、北医師は子宮摘出術のことしか頭になかった。
3.宮本医師に子宮温存希望を告げるも、被告宮本はこれを否定し、 宮本医師は子宮全摘術をするかしないかの二者択一しかないと供述、つまり被告宮本は原告の子宮温存希望を聞いたところで、 「聞く耳を持たない態度」であった。
4.被告宮本は偽閉経療法または子宮筋腫核出術について説明すべき義務があったのに怠った。
チーム医療の元、北医師が子宮全摘手術を決定されたものは、原告からの要望が無ければ、 北医師の再判断を仰ぐという事は無かったというものである。被告宮本が原告の主治医であるから、 説明義務と尽くすべきであった。
「手術したくないとか、聞きたい事があったら、説明を受けに北医師のところへ行く時間はあった」というのは弁解にすぎない。
ここで問題なのは検討の時間があったではなく、説明義務が尽くされていたかである。
5.被告宮本は挙児希望があれば子宮核出術の適応があったのは認めているから、 原告は温存希望を明言しているのだから、被告宮本は挙児希望の確認をすべき義務があった。
6.術前、原告の被告宮本への「一人で手術やるのか」の質問に答えをはぐらかし、 指導医が付くことを説明しなかった。 事前に正直に説明していれば、同意書にサインしなかった。
7.原告は術前手術室前で落涙しており、1月1日の看護記録にも、原告の人生観が記録されており、 子宮温存希望があったことは明らかである。
8.術後、被告宮本との交渉、セカンドオピニオンの時には原告は、 子宮温存方法である偽閉経療法や子宮筋腫核出術を受けれる可能性があったことは知らなかった。
この点に関する原判決の判断には理由がない。
9.偽閉経療法が患者のためになるかならないかは、患者自身の判断に委ねられるものであり、 医師が自らの価値観によって判断すべきことではない。
10.原告の主訴は腹部膨満感であり、深部静脈血栓症の疑いも無かった事から、 偽閉経療法は縮小効果があり、そこから核出術をすることもあり得たのだから、 適応が無かったとは言えない。
この時、証拠説明書として、陳述書と共に、色々な病院のHPをコピーして提出しました。
・順天堂医院婦人科内視鏡チームの「臍上の巨大筋腫をアゴニスト療法後に腹腔鏡下核出術をした内容」のHP。
・四谷メディカルキューブの子宮筋腫治療のHP。
・京都府立医科大学産婦人科学教室の「腹腔鏡下手術・子宮鏡手術」のHP。
・福岡山王病院の婦人科(内視鏡・不妊治療)のHP。
いずれも、腹腔鏡手術や巨大筋腫に対する治療方法などの実績を謳っていました。
控訴答弁書
・挙児希望があることは北医師、宮本医師に告げていない事は控訴人自身も認めている。セカンドオピニオンで受診した他の医療機関でも、控訴人が医師に対して挙児希望があったことを告げた形跡はない。
・紹介状および北医師の診療録は手術希望と記載があり、控訴人が手術を希望した事実が無いのに、 手術希望と記載するとは考え難く、控訴人が積極的に手術を希望していたと認められるべきである。
・北医師は30分かけて子宮筋腫の治療法について説明している。
・11月7日の宮本医師の受診時に、子宮温存を述べたことは診療録に記載がない。
挙児希望がある事を述べていない事は控訴人本人が認めいているところから、 宮本医師が、手術を希望する患者が、子宮温存の希望がある事を理解することは不可能である。
宮本医師は控訴人が手術の必要性を悩む態度を示したことから、 よく考えるようにと再度外来受診の予約を取っている。 宮本医師が「聞く耳を持たない態度」であったのならば、その場で決断を迫ったはずであるが、控訴人の悩みに耳を傾け、 熟慮する時間を設けているのだから、控訴人の推測には根拠がない。
・宮本医師は同日手術・検査に関する説明書(同意書)を使って、丁寧に説明した。
・控訴人は子宮筋腫に対する治療方法全体について説明を受けており、 偽閉経療法について術後相当期間経過後まで知らなかったとは考えられない。
控訴人が、北医師から偽閉経療法等について説明を受けておらず、 子宮温存の可能性があることについて全く知らなかったというのであれば、 宮本医師に対しても子宮温存希望を告げていない可能性が高いと考えられる。
・控訴人は11月7日に宮本医師が「偽閉経療法ないし子宮筋腫核出術」について説明すべきであったと主張する。
しかし、偽閉経療法については、控訴人のような多発性巨大筋腫の場合、治療効果が上がるとは予想できず、 適応が無い事は原判決が認定したとおりである。
子宮筋腫核出術については、挙児希望がある場合に適応がある事は原判決が認定した通りで、 控訴人が挙児希望を述べたことはなく、子宮筋腫核出術の適応はなかった。
したがって、宮本医師に子宮温存を前提とした治療法の提案をする義務はなかった。
・控訴人が、子宮温存を希望する事を明言したとは認められないから、 宮本医師が挙児希望の有無について確認すべき義務は存在しない。
尚、手術・検査に関する説明書(同意書)には「閉経以前の方は妊娠できなくなる」との記載があり、 11月7日に宮本医師は線を引いて強調して説明したが、 控訴人から子宮を摘出することや妊娠できなくなることを避けたい旨の意志は示されなかった。
・手術をするに当たって、どのような医師で手術チームを構成するかは患者の自己決定とは関係なく、 説明義務の範囲外で、宮本医師に説明すべき義務があるとはいえない。
控訴人に偽閉経療法及び子宮筋腫核出術の適応がなかった事は検討したとおりである。
控訴人は患者のためになるかならないかは患者自身が判断すべきであり、 医師が自らの価値観で判断すべきでないと主張するが、本件で問題となっているのは合併症などの不利益を伴う治療の適応であり、 医学的な根拠に基づいて判断されるべき事柄であるから、患者の判断のみに委ねるべきものではない。
控訴人に、仮に、挙児希望があったとしても、その事をもって直ちに偽閉経療法及び子宮筋腫核出術の適応があるとは考えられない。
本件のような巨大筋腫に対して、偽閉経療法を術前に実施したとしても、子宮筋腫の劇的な縮小は期待できない。
また、偽閉経療法には様々な合併症があり、静脈血栓症や更年期症状のリスクを上昇させる等の不利益がある。
子宮筋腫核出術を実施したとしても、正常筋層を残して子宮を温存できるかは不明であり、
閉経に至るまでに筋腫の再発・増大が起こり得る。
一方で45歳を過ぎて、体外受精や顕微授精等の生殖補助医療を行っても妊娠することはほとんどないとされており、
子宮温存の利益に乏しく、控訴人に挙児希望があることを前提にしても、適応を肯定できない。
北医師・宮本医師が(地裁の尋問で)、挙児希望がある場合の偽閉経療法及び子宮筋腫核出術の適応について述べたのは、 全症例に対する判断基準であって、本件について言及したものではない。
本件で手術を避けた場合の治療としては、経過観察が中心であり、 手術を避けることが直ちに偽閉経療法及び子宮筋腫核出術の適応に結び付くわけではない。
したがって、控訴人には偽閉経療法及び子宮筋腫核出術の適応はなく、宮本医師には、 控訴人に適応が無い偽閉経療法及び子宮筋腫核出術について治療方法を説明すべき義務があったとは認められない。
控訴人の陳述書は伝聞証拠で信用性が低い。
6.高裁判決
判決は控訴棄却でした。裁判所の判断
当裁判所も、子宮全摘出以外の子宮温存の治療方法について説明する義務があったとは認めず、 原判決を補正するほかは、原判決のとおりである。
・被控訴人宮本は、控訴人に対して、「手術を勧めるが、最終的には本人が希望した時点で手術を予定する」と伝えているのだから, 控訴人の主張するような「聞く耳持たない」態度であったとは認められない。
・被控訴人宮本との話し合いや他院でのセカンドオピニオンで、子宮温存の希望が無視されたと述べておらず、 控訴人の子宮温存希望の主張は採用できない。
・意見書においても、筋腫核出術を実施しても、手術により得られる利益はほとんどなかった。
偽閉経療法に行い子宮筋腫の縮小効果が得られたとしても結果はほとんど同じであった。
・指導医が付くことも、当該病院の方針・医師の裁量に委ねられる事項で、説明する義務は認められない。
裁判長 佐村 浩之
裁判官 大野 正男
裁判官 松山 昇平
※病院側・北医師は尋問で原告に対して、妊娠希望・温存希望があれば核出術をしたという発言をいとも簡単に翻してきました。
実に都合のいい話です。
高裁は、一発勝負です。
病院側からの答弁は、後出しです。
原告の主張に対していくらでも言い訳できます。
「仮に挙児希望があったとしても、偽閉経療法及び子宮筋腫核出術の適応が無ければ、説明義務はない」
結局これが、今までこの病院が、北正人医師がしてきた事です。。ネットの書き込みで見たことがあります。
「全摘拒否だけでは全摘になってしまう病院もあります。
嘘でもいいから妊娠希望を出して下さい」と。
それがこの病院、宮本和尚医師のことでした。
しかも、それを上回るものでした。
全摘拒否はもみ消され、妊娠希望さえ奪い、妊娠希望があっても全摘なのです。
「何が何でも、子宮を取る」です。
島根大学病院の教授が仰っているような、「全摘拒否されたが納得してもらったとカルテに記入する」良心的な病院・医師もいらっしゃるのに、 それどころかカルテにも記載しなければ、「聞いてません」です。
残念ながら証明する事は出来ませんが,ICレコーダーの発言があります。
どれほどの医師かご理解いただけるでしょう。
私が言うまでもなく、この後の意見書で、良心的な先生方が仰っている事と比較して章の意見書で、 良心的な先生方が仰っている事と比較していただければ、あるいは、 宮本和尚医師の発言でもICレコーダーと尋問での発言を見て頂ければ、 この二人の医師がどれほどのものなのか、この治療がどんなものなのか、想像に難くないと思います。