取られた卵巣は本当にチョコレート嚢腫?
第7章 神戸市立医療センター中央市民病院の役割その光と影
術前においておくと言われながら、術中にあっけなく摘出された卵巣。ところが組織診断では「内膜の確認ができなかった」、出血性黄体嚢胞の可能性があります。
これが東大病院なら卵巣を取られることはありませんでした。術前の説明、検査がしっかりとなされているからです。
それでは、まず卵巣から。子宮だけでなく、卵巣も話がおかしかったのです。
術前に「おいておく」と言われたにもかかわらず、
摘出された右の卵巣は本当にチョコレート嚢腫だったのでしょうか。
宮本医師の説明では、見た目だけでチョコレート嚢腫と判断してとるという事です。
しかも組織診断票で、「内膜の確認ができなかった」というのはよくある事で、
あくまでも見た目が黒い出血だから、チョコレート嚢腫であるという見解です。
見た目が悪ければ取られてしまっても仕方が無いのです。
そしてそれはセカンドオピニオンで行った近大付属病院のM先生(現京大病院 教授)も同じように仰っていました。
それはそうです。M先生も京大出身です。同じ見解になるのでしょう。
さらに言っていたのが
「黄体嚢胞であんな色をした中身がある事はないと僕は思うので、」
「真っ黒なチョコレートの色をした黄体嚢胞っていうのは見たことがないからそれは違うと思います。
あのー僕らもそれを言われたら、今まで、もうそれこそ黄体嚢胞をチョコレート嚢胞だと思ってとっていたことになっちゃいますので」
しかしYレディースクリニック及び東大病院で言われたのは、 この「内膜が確認できなかった」というのは「公平に言って出血性黄体嚢胞」との事です。
私もネットで見る限り、チョコレート嚢腫と言われて手術したら、出血性黄体嚢胞だったというのを見ました。
おそらく世間一般では「内膜の確認が出来なかった」ら出血性黄体嚢胞だったという事なのでしょう。
京大系の神戸市立医療センター中央市民病院と世間一般では、認識にずれがあるようです。
しかも、チョコレート嚢腫と出血性黄体嚢胞は見極めが難しく、その見極めが出来る医師は少ないとの事です。出血もチョコレート嚢腫ならもちろんどす黒いチョコレート色の出血です。
しかし出血性黄体嚢胞も出血したばかりはフレッシュな赤い血だが、 時間をおくと血豆と同じでどす黒くなるのだとN先生から教えて頂きました。
神戸市医師会副会長の産婦人科のNI先生からも、どす黒いと教わりました。
東大病院の先生も見極めは難しいと仰っています。
しかも検査を重ねて、チョコレート嚢腫と判断したにもかかわらず、それでもそういう事があるとの事でした。
さらにレディースクリニックや東大病院で教えて頂いたのは、アゴニスト療法をすることによって、 チョコレート嚢腫なら縮小するし、出血性黄体嚢胞ならアゴニスト療法をしてもしなくても、 数ヶ月で治ってしまうのです。
私もアゴニスト療法をしていれば、取られなくて済んだ可能性があります。
図書館で読んだ専門書に書かれていました。
「チョコレート嚢腫:内容物が血性であっても内膜症の一つの特徴すなわち反復性の出血であるため、 多房性であること、周囲組織との癒着を伴う事を欠如している場合は単発の卵巣出血、 あるいは肺葉内出血も考慮するべき。」とありました。
今回、宮本和尚医師は取るという説明もしなければ、おいておくと言い(東大病院では口が腐っても「おいておく」とは言えません)、 検査もしない、アゴニスト療法もしないで、同意書一枚でいきなり取りました。
そして結果が出ていません(組織診断の「内膜の確認が出来ませんでした」)。
するべき事をしていないのですから、当然です。
しかも、これが出血性黄体嚢胞だったという認識すらありません。
近畿大学附属病院のM先生が手術前にどこまで検査するのか、 アゴニスト療法をするのかしないのか、知りませんが、M先生にも、黒い出血はチョコレート嚢腫であって、 出血性黄体嚢胞の可能性があるという認識、意識はありませんでした。
摘出の時にその認識、意識が無ければ出血性黄体嚢胞なのかチョコレート嚢腫なのか区別しようという意識も働きません。
それこそ「黄体嚢胞をチョコレート嚢胞だと思ってとっていた」になるのです。
これは神戸市立医療センター中央市民病院でも同じで(京大系列なので)、 宮本医師、青木医師、林医師は、悪くも無い出血性黄体嚢胞をチョコレート嚢腫と信じてとっていたのです。
しかも、説明もしていなければ、検査もせず、アゴニスト療法もせずに、です。
だからと言ってそれが悪い訳ではありません。
悪いものは取ってかかるのが医師の仕事です。
しかし、これが東大病院なら、MRIを2回撮ってから、アゴニスト療法をしてからの手術になります。 東大病院で手術していたら、右の卵巣は取られる事は無かったのです。
東大病院のようにきちんと説明を聞いて、検査を重ねて、する事をして、 それで取られるのと、今回の私のようにいきなり取られ、挙句の果ての「腐っていた」発言で、 さらにその後の卵巣の説明も二転三転する。
患者はどちらが納得いくでしょうか。
(ご参考までに)
子宮内膜症
子宮の内側を覆う内膜は、妊娠時の赤ちゃんのベッドになります。 妊娠に備えて増殖し、受精卵の着床が無ければ剥がれおちる、これを周期的に繰り返します。剥がれおちた組織や血液が月経です。
子宮内膜症は、子宮の内側にある内膜の組織が、本来あるべきところ以外(異所性)の場所で、 発育、増殖する病気です。
はっきりした原因はわかりませんが、卵管を逆流するようです。
子宮内膜症の主な発生部位は子宮の壁(子宮腺筋症)、子宮と直腸の間、卵巣などです。
月経痛をはじめとする疼痛(下腹部痛・腰痛・排便痛など)と不妊が主な症状。
チョコレート嚢腫
子宮内膜の組織が子宮内腔以外の場所へ発生する子宮内膜症という病気が原因で、 卵巣に内出血が起こり腫れるもの。古い出血がチョコレートのように見える為、チョコレート嚢腫と言われます。
40歳以降は癌化の可能性がある為、4cm以上は手術をすすめられます。
出血性黄体嚢胞
卵巣は、卵胞発育・排卵・黄体形成が繰り返され、 その経過の中で卵巣が一時的に腫れることがある(機能性嚢胞)。その中で頻度が多いのが、排卵後の黄体に血液がたまり腫れるのが出血性黄体嚢胞です。
自然に消えていくことがほとんどです。